業務用エアコンの個別運転(通称ビルマル)について

1台の室外機で複数のエアコンの運転を個別に制御することが出来るもの、それこそが個別運転機能が搭載された業務用エアコンで、ビル用マルチエアコン、通称ビルマルチまたはビルマルと呼んだりもします。今回はその「個別運転」の魅力について深掘りし、用途や部屋ごとに併せたエアコン稼働で、より電気代をお得に節約・快適に過ごすためのキーワードを手に入れちゃいましょう!

そもそも個別運転って?同時運転との違いは?

業務用エアコンには、それぞれ「個別運転」「同時運転」という形があるというのをご存知でしたか?過去のコラムでも一度ご紹介させていただいたことがありますが、改めて詳しくご説明致しますと、個別運転というのは、室外機1台に対して複数台の業務用エアコンを個別に運転出来る仕組みのもの。なので、リモコンもエアコンの台数分操作出来る形になります。個別運転の業務用エアコンは主に複数部屋がある空間や出入口の温度ムラの軽減の目的、ワンフロアでの窓際に設置されることが多く、また、メーカーにより名称は異なりますが、エアコンの台数によっては個別ツイン・個別トリプル・個別ダブルツインなどと呼ばれたりもします。

対して同時運転というのは、室外機1台に対して複数台の業務用エアコンを同時に運転する仕組みのもの。なので、主に工場やワンフロアの空間によく使用されることが多く、基本的にはリモコン1台で操作します。そしてこちらもメーカーによって名称は異なるのですが、同時ツイン・同時トリプル・同時ダブルツインなどと呼ばれることもあります。

この法則で違いを説明するために1つ例を挙げますと、1ルームのオフィスに室外機1台に対して業務用エアコンが3台設置されている状態の場合、同時運転は1つのリモコンで運転を制御するため一部だけ運転を行う、ということが出来ません。ですが個別運転の場合ですと、前述した通りそれぞれ室内機分のリモコンが設置されているため、一部での運転が可能になります。複数の部屋で室内ごとにリモコンを接続すれば複数のエアコンをそれぞれ運転させることができ、使用状況に応じた温度設定が可能になるため余計な運転を減らすことへと繋がり、その結果電気代の削減へと繋がっていくというサイクルが出来上がるのです。

また、より詳しい違いについての解説は、過去のコラムにてご紹介しておりますのでこちらも併せて是非参考にしてみてください。

*個別運転と同時運転のより詳しい違いについてはこちら!

個別運転の魅力について知ろう!

温度のムラを抑え、余計な電力を削減する

複数の室内の業務用エアコンの運転のオンとオフをリモコン1つのみで同時にコントロールする場合でも、それぞれの室内の業務用エアコンのサーモ状態のオンとオフは個別にコントロールされます。これによりそれぞれの室内にある業務用エアコンが平等に設定温度に達するまで運転するため、外気や日射の影響を受けないゾーン(インテリアゾーン)と受けるゾーン(ペリメータゾーン)それぞれの状況に併せた空調が可能になり、快適でムダのない空調が可能になるのです。

配管をまとめて取り付け出来るため、工事の手間と工期短縮

先述した通り必要な室外機が1台であるため設置のしやすさはもちろんのこと、主な配線・配管工事は1系統分で良いところも個別運転搭載の業務用エアコンの魅力の1つ。各空間にシングルタイプを設置する場合と比べ工事がかなり行いやすいため、工期も大幅に短縮することが可能です。更には280型の場合、空調能力が同等の63型を個別で4台設置したときに比べおよそ70%も削減。サイドフローのためその設置自由度も高く、幅広い空間に設置することも出来るのです。

空間のレイアウト変更にも難なく対応!

各エアコンにリモコンスイッチを接続することにより、空間ごとにオンとオフを個別でコントロール可能。使う空間での業務用エアコンのみを運転させることが出来るため非常にコスト削減な上に、間に仕切りなどを設けるというレイアウト変更時にも柔軟に対応することが出来ます。

それぞれのメーカーごとの個別運転の業務用エアコン

メーカーごとにそれぞれ個別運転の業務用エアコンはありますが、ここではいくつか絞ってご紹介させて頂きたいと思います。

ダイキン「個別〇(マル)ZEAS-Q」

ダイキンのこのラインナップは、なんといってもエアコンごとに個別に設定と運転が出来るのがすごいところ。例えば、テナントビルなどの場合1つのフロアを2つのテナントに貸す際に個別運転が可能であったり、オフィスでよくある室内の一部を仕切ってミーティングに使いたい!というときでも使っていないスペースは運転を停めておくことが出来てしまうのです。こういった、異なる業務用エアコンの使い方が出来てしまうのです。

なお、対応機種は「天井埋込カセット形Sラウンドフローシリーズ・シングルフロー・壁掛形・天井吊形・ダブルフロー・ビルトイン形・ダクト形・天吊自在形」の「4馬力(P112)~12馬力(P335)」のみとなっておりますので、その点のみ予めご注意ください。

日立「省エネの達人」シリーズ

日立のこのシリーズにおいて最大の強みは、個別運転機能に合わさって「人感センサー」が必ずついているということ。この人感センサーは人が多く集まっているところや逆にいないところをセンサーでそれぞれ検知し、その動きに応じて自動的に風量や温度・風向きを調節してくれるという非常に優れたものとなっています。この機能があれば、居酒屋やカラオケ店・レストラン等の飲食店などでは不在になった個室では自動オフになり店の中の状況に応じて自動的にコントロールが可能になり、オフィスなどでも昼休みや営業部署など人が居ない部分は運転のセーブがかかるためコスト削減にも大幅に繋がります。更には、医療や福祉関係の建物でも、共有スペースなどの使いたい部屋のみ運転し使わない部屋は自動的に運転が切れるため、うっかり消し忘れてしまった!といったことも減らすことが出来ます。

また、このシリーズは「省エネの達人」ならびに「省エネの達人プレミアム」それぞれ個別運転が標準搭載なのも強いところと呼べるのではないでしょうか。

三菱電機「スリムK」

室外機は5馬力(P140)~10馬力(P280)までと限られてはしまいますが、三菱電機にはそれぞれ「人感ムーブアイ360」と呼ばれるものを採用した4方向天井カセット形と、「ムーブアイ」を持つ天井吊形で、それぞれムダのなく効率性の高い運転をするものがあるというのがオススメポイント。また何よりすごいのが、暖房機能を行った際に除霜運転が搭載しているということ。寒い冬の日に暖房は欠かせないアイテムだとは思うのですが、立ち上がりに時間がかかる・・・といった心配も多く見られます。その際にこの機能さえあれば、翌朝の立ち上がりもスムーズ。そういった配慮が素晴らしい点も、三菱電機の強みとも呼べるのではないでしょうか。

三菱重工「ハイパーVSX」

三菱重工のこのラインナップは、何よりすごいのはそのタイプ数機種の数。なんと全12タイプ81種と幅広い中から選べ、室内機と室外機の高低差30m・室内ユニット高低差最大18mなど、ビルなどの高い建物にもとても最適です。また、静音モードが搭載されているものもあり、静かな環境が必要となってくる場所でもこちらの機能を使えば難なく解決出来てしまいます。更には、バックアップ機能というものも搭載しており、仮に室内機を2台以上設置していた場合、空間内の温度をキープしたまま交互に運転をするという交互運転サイクルというものが働き、経年変化を均一にさせることから片方のみが壊れるという心配もあまりなく、また万が一仮に1台エアコンが故障してしまったとしても、もう1台のエアコンが後追い運転を始めるため快適性を損なわずに過ごすことが出来ます。

なお、交互運転サイクルはご自身で変更も可能なため、利便性にも優れていると言えます。

まとめ

個別運転搭載の業務用エアコンは、間取りや設置する場所に応じて室外機1台に対し複数の室内機を使用することが出来ます。それにより結果、空調機器や工事の費用のコストを大幅に抑えることが可能になるのです。

幅広いラインナップを持つ個別運転搭載の業務用エアコンを使って、よりお得に快適に毎日を過ごしちゃいましょう!

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