R22型フロンの業務用エアコンをお使いのみなさまへ

2020年1月より、R22という冷媒の入手が極めて困難になったことから、R22型フロン(冷媒)を使った業務用エアコンの修理が出来ない事態に陥ってしまっています。

お使いの業務用エアコンは、R22型フロンを使用しているものでしょうか?どのように確認すれば良いのか。また、どうすれば良いのか。深く掘り下げて、一緒に見ていきましょう。

「冷媒ガス」とは?

R22について触れる前に、まず初めにエアコンが放つ冷媒ガスについて詳しくご説明致します。

そもそも冷媒ガスというのは、主に、

  • 水素
  • 炭素
  • フッ素
  • 塩素
  • 臭素

などを含んだ、人工的なガスの名称を表しています。

その中でも、冷媒ガスというのが開発されたのはおよそ100年以上前1920年ごろだと言われており、特徴としては、

  • 燃えにくい
  • 人体に影響を与えない
  • 安定している

というこれらの理由から、主に冷蔵庫やエアコンなど冷たい空気が必要とする電化製品に多く使われてきました。

また、エアコンの冷媒ガスを使った具体的な冷風の起こし方の仕組みとしては、この内部にある冷媒が蒸発する際に周囲から大量の熱を奪い発生する「潜熱」という条件を利用し、冷たい風を作り出していることによるものからです。

「R22」とは?

エアコンが使用している冷媒ガスには多くの種類があり、この20数年間に技術の発達によって、より省エネ性が高く環境に優しいガスが生み出されてきています。そしてその中の一つであり、過去生成されていたのがR22と呼ばれる冷媒ガスです。

R22は2019年末までに主に冷凍庫や冷蔵庫・エアコンなどに使用されており、当時は冷凍能力に対して冷媒の容積を少なく出来るなど非常に優れた冷媒ガスとして認められていました。しかし、新しい冷媒ガスの登場によって採用される機会が激減されていったことや、入手が困難になったこと、更には、R22はHCFC(ハイドロ クロロ フルオロ カーボン)と呼ばれる種類に属されており、塩素を含んでいながら水素もあるためオゾン層を破壊する可能性がある化合物だとして、モントリオール議定書(政府間国際協定)及びオゾン層保護法(1988制定)に基づき2020年までに全廃されることとなったのです。

冷媒ガスの確認の方法

冒頭でもお話した通り、2019年の12月末をもって実質全廃となってしまったR22のフロンが使用されているエアコン。そこでやはり気になってくるのは、今ご自身でお使いのエアコンにR22のフロンが使用されているかどうかだと思います。そこで次に、その確認の仕方について一緒に見ていきましょう。

方法としては非常に簡単で、室外機の前面や側面に貼り付けてある製品の型番や製造番号などが記載されている銘板(シール)の内の「冷媒」の項目をチェックしていただくのみです。そこに「R22」と記載されていたり、また、そもそもの銘板自体が薄れている場合は経年劣化による可能性が高いので、型式が古い場合があり、交換の目安の時期と呼べるでしょう。

「R22」を使い続けるとどうなるの?デメリットは?

ガス漏れや故障を起こしていない限りはR22を搭載しているエアコンを使用し続けることは可能ではありますが、やはり最新機種のエアコンに比べると問題点が多く発生してしまうのも事実です。一体どのような問題が発生してしまうのか、深く解説していきます。

まず何より重要なのが、故障してしまった際に修理が出来なくなってしまう懸念があるということです。というのも、R22のエアコンは生産自体が終了しているということもあり、部品の調達自体が非常に困難な状況です。そのために、修理が出来たとしても時間が大変かかってしまったり、特定の部品が必要になることもあるため、場合によっては修理自体が行えなくなる可能性も発生してしまうのです。それゆえに仮に修理が出来たとしても、コストが大幅にかかってしまうことも否めません。また、ガス不足が原因で故障していた場合でも、その補充が出来ないということも決定的な欠点です。

次に、万が一冷媒が漏れ出てしまった場合、環境に大きくダメージを与えてしまう可能性があるということも考えられます。地球温暖化が深く問題視されている昨今、企業にも温暖化対策が求められる社会になっている以上、オゾン層の破壊など地球環境に悪影響を与えてしまうR22のフロンを用いたエアコンを使用するということは後世まで綺麗な地球を残すためにもあまり良いとは言えないでしょう。そして更には、現在主流となっているエアコンと比べて省エネ性が良くないため、使用し続けることで電気代がかさんでしまうのも1つのデメリットと言えます。

「R22」と「R32」の違い

冷媒はR22からその後、「R407C」、「R410A」と年々進化を遂げ、現在はオゾン破壊係数が0地球温暖化係数が低い「R32」という冷媒が主流となっており、これは旧冷媒のR22と比べて地球にもコストにも大変優しい冷媒となっています。では一体、R22とR32はどれぐらい違うのか。比較のグラフを交えつつ、詳しくご説明致します。

オゾン破壊係数と地球温暖化係数について

上のグラフから見た通り、やはり最新型であるR32の方が数値がかなり抑えられていることがお分かりになるかと思います。

ここに記載されているオゾン破壊係数と地球温暖化係数についてそれぞれ説明すると、まずオゾン破壊係数とは、地球の周りを覆っているオゾン層を破壊してしまう可能性を表した数値となっています。よって、係数が大きければ大きいほどよりオゾン層を破壊する効果が高い冷媒といえるのです。こう見ると、R22は0.05あるのに対し、R32は0。つまり、ほぼ無害といっても過言ではありません。オゾン層が壊れてしまうと地球に到達する紫外線の量が増えてしまうため、人体に影響を与えてしまうといわれています。R22の方も数値だけ見ると少なくは感じますが、長年お使いになっていくうちに劣化や腐食などにより冷媒が周囲に漏れ出てしまうと、オゾン層に対して大きな悪影響を及ぼしてしまうことも否めません。

次に、地球温暖化係数についてです。こちらは簡単に説明致しますと、地球を熱くしてしまう効果を表す数値ということ。よって、係数が大きければ大きいほど温暖化を促進してしまう可能性があるということが考えられるのです。こちらもR22が1810あるのに対し、R32は675。比べると、実に約3倍近くの差があることがハッキリと分かります。近年、夏季に40℃を超える猛暑が続く日が多いのも、この地球温暖化係数が高い冷媒が大気中に多く放出されてきたことが原因の1つとして挙げられているのも事実です。

更にR32は、R22と比べておおよそ3分の1の消費電力で同レベルの冷暖房を運転することが可能だといわれています。エアコンが故障してからではなく、余裕を持った状態で交換を行うことで、後々を快適に過ごすことが出来るのです。

なお、業務用エアコンは室内機と室外機がセットで販売されているため、室外機のみの販売や交換は出来ません。よって入れ替えの際は、室内機と一緒に交換する必要があります。また、それぞれの機器により注入する冷媒が指定されているため、冷媒のみの交換も難しいです。異なる種類の冷媒を入れてしまうことにより、誤作動や故障の原因にも繋がってしまう可能性があるからです。必ず交換する際には、機器本体ごと交換するようにしてください。

よりよい快適空間でより過ごしやすい生活に

メーカー調べによると、業務用エアコンの最新機種は15年程前のインバーター機と比べ、電力の消費量が60%ほど省エネになっているそうです。そこから見ると、現在主流になっているエアコンが比較して更に省エネ化が進んでいるということが考えられますね。環境面やコスト面、後々のことを思慮すると、ご自身でお使いのエアコンがR22だった場合、やはり最新型へと交換することでより過ごしやすくより快適な環境を作れるといえるでしょう。

今回のコラムを参考に業務用エアコンの交換や、最新機種についてなどご不明な点等ございましたら、アルファシステムに是非一度ご相談ください!