災害時に備えた業務用エアコンの対処法を知ろう

近年、日本では自然災害の発生が多くみられています。地震や台風、梅雨の時期の大雨やゲリラ豪雨、大雪など例を挙げるとさまざまです。発生時にはもちろん建物や道路にも甚大な被害が及んでしまうのですが、屋外に設置されている室外機にもトラブルが起こってしまいます。今回は、そのような災害が起こった際の室外機の対処法について詳しくご説明いたします。

室外機と室内機はセットで動いている

エアコン、と聞くと一般的には部屋の中にある室内機のみを想像するかもしれません。

ですが実際には、エアコンは室内機だけではなく、外にある室外機とセットで運転されています。室外機は屋外で設置されることを前提に作られているため、風や雨、揺れや寒暖差の激しい気温でも耐えられるようテストを合格し、基本的には安定した力を発揮できる仕組みになっています。

しかし、地震や台風などの大きな災害が訪れると、表面上には問題はなくても周りから飛んできた物が衝突したことによる影響や、室外機自体が落下や転倒を起こし壊れてしまうケースが起こりうることもあります。

また、普通の雨程度ならば問題はありませんが、大雨の場合ですと、規定を超えた大量の水が室外機にかかり浸水を起こしてしまい使えなくなってしまうということもあります。

万が一が起きてしまったとき、どうすればいいのか。代表的な例に沿って、対処法をしっかり押さえておきましょう。

それぞれの対処法について

落下や転倒、位置ずれや破損を起こしてしまったとき

このような事態が起きてしまっている場合は、まず絶対にご自身で触ってはいけません。

というのも、室外機と室内機は冷媒配管と呼ばれる配管で繋がれており、その配管の中には「冷媒」と呼ばれるフロンガスが通っています。その温度は実にマイナス近い温度になっている可能性もあり、転倒の影響で配管に穴が空いていたり、動かした衝撃で破損が起こってしまった場合、直接そこへ触れてしまうと凍傷へ繋がってしまう危険性があります。

また、一見大きな損傷がないように思えても、目視では判断が難しい傷が出来ている可能性もあるので、必ず販売店や専門業者に状況を確認してもらいましょう。

浸水してしまったとき

このような事態が起きてしまっていて業務用エアコンが動かなくなっている場合は、すぐに使用を中止し、室内機のコンセントを抜くブレーカーを切ってください

室外機が浸水してくると、内部にある電気回路に水が触れてしまう可能性があり、漏電の原因に繋がってしまいます。

更には、水によって運ばれてきた泥や不純物が内部へ入りこみ、モーターなどに不具合をもたらす場合もあります。無理にブレーカーを上げようとするとブレーカー自体が壊れてしまい、他の電化製品に影響を及ぼす原因や最悪の場合発火の恐れにも繋がってしまうことがあるため、必ず電源を落としたまま販売店や専門業者に相談してください。

ファンへ異物が入ってしまったとき

台風や大雨などで舞ってしまった小石やゴミなどがファンの中に入りこんでしまい、異音が目立つなどの違和感を感じる場合は、一度状況を確認し、簡単に取るのは難しい場所のときや奥に入りこんでしまっているようであれば販売店や専門業者に必ず連絡または相談してください。

異物が入ったままの状態で使用することで、内部の部品が傷つき故障に繋がる原因へと発展してしまうことがあります。また、場所によっては、電気部品やモーターにも影響を及ぼす可能性もあるからです。

大雪のとき

この場合は、まず業務用エアコンを動かす前にブレーカーを落とし、室外機の周りの雪を30cm以上取り除いてください。

というのも、吹き出し口や吸い込み口の周りに物があると、室外機付近の空気の流れが悪くなってしまい、「ショートサーキット」という現象が起こってしまいます。そうすると、室外機の吹き出し口から吹き出した冷えた空気をそのまま吸い込んでしまうため、外の熱を取り入れることが出来ず、上手く循環が出来なくなってしまいます。そうなってしまうと、電気代の上昇に繋がってしまったり、場合によっては暖房機能自体が停まってしまう可能性もあるからです。

ある程度雪を取り除くことが出来れば、その後ブレーカーを上げて、業務用エアコンを稼働させて確かめてみてください。その際もし、正常に動かない場合は販売店や専門業者に必ず相談してください。

また、このように気温が低い日には、室外機の内部にある熱交換器に、空気中の水蒸気が結露を起こしたり雪が凍ったりして霜が付くときがあります。そうすると、熱交換器がうまく稼働せず、業務用エアコンが正常に運転しない場合があります。

それを防ぐために、業務用エアコンには「霜取り運転」という機能がついています。

霜取り運転のより詳しい説明についてはこちら。

霜取り運転中は、室外機内部の熱交換器を温め霜を除去するため、室内機からは温かい風が出てきません。そのため、故障したと思われることがあるかもしれませんが、完了すると元通りに戻るため、ご安心ください。

その際に、本体やリモコンに除霜運転の表示が出ているはずなので、確認してみましょう。

日頃から出来る対策法

災害が起こってしまったときにどのように対処するか方法を知っておくのももちろん大切なのですが、やはり一番は少しでもその被害を最小限に抑えることが重要ですよね。「備えあれば患いなし」ということわざがあるように、日頃から行える対策法についても並べてご紹介いたします。

まず、室外機がしっかり固定されているかどうかを確認してみましょう。コンクリートのブロックに室外機の足を固定する方法や、建物と室外機をアンカーで結合したり、手すりと室外機をワイヤーで繋げて固定することで、多少の風では動じなくなり位置ずれや転倒などを未然に防ぐことが出来ます。また、落下防止の金具を付けたり、重量のある置台の上に載せることも日頃から行える対策方法の一つです。

更には、設置する環境に配慮することもポイントの一つと言えます。室外機の周りに物を置かないようにすることで、風などで物が倒れてきて室外機が破損するなどのケースを防ぐことが出来ます。それに加わり、冷房を効率よく使うことが出来るため、電気代を抑えることも可能なのです。

焦らず慌てず、慎重に対処しよう

大きな災害が発生した際、メーカーによっては特別対応として修理や点検を行っている場合があります。予期せぬ出来事が起きたときにはつい焦ってしまいますが、今回のコラムを参考に日頃からの対策や対処法へとお役立て頂けると幸いです。

また、災害時に業務用エアコンが正常に運転しなくなってしまったり転倒などのケースが起こってしまった場合には、絶対にご自身で判断せず、必ず専門業者の判断の後に行動を行うようにしてください。

お困りごとがありましたら、是非アルファシステムにお気軽にお問い合わせください。